
経営者の皆さんにとって、自社における節税対策は毎年頭を悩ませるものでしょう。そもそも、節税対策として何をすればいいか分からないという方も多くいらっしゃると思います。
そこで、皆さんに法人における節税対策としておすすめしたいのが「アメリカ不動産投資」です。
今回は、初心者の方でも分かりやすいように、海外不動産投資の中でも日本と大きく性質が異なる「アメリカ不動産投資」について、いまさら聞けない基本からお話ししていきます。
Contents
アメリカについて
アメリカの不動産投資がこれからどれほど価値あるものになっていくかを知るために、まずはアメリカの不動産に関連する情報を見ていきましょう。
人口の増加
アメリカは、年々人口の増加が著しくみられる国で有名です。この、人口の増加は不動産と大きく関係してきます。まずは、以下のグラフをご覧ください。
(World meter “United States”を参照し作成。)
これは、過去20年間における人口の推移を表したグラフになります。誰がどう見ても分かるほどに、人口は右肩上がりとなっています。
この増加の原因としては、移民の受け入れや出生率などが挙げられます。一方、増加率は年々減少しており、その大きな原因の一つには死亡率の増加があります。
他のデータと組合すことで、様々な推測を立てられますが、今後数年間人口は増加をみせるだろうとみて間違いないでしょう。
人口の増加は、住む場所つまり住宅の需要を増加させることは誰が考えても分かるでしょう。今後数年間、人口に増加の傾向がみられるアメリカでは、これから住宅の価値が上がっていくことが予想されます。
このことから、アメリカの住宅投資では、キャピタルゲインも視野に入れられるでしょう。
アメリカの国家戦略
アメリカは、国家の戦略として不動産の価値を上げる戦略をとっています。その戦略の一つが「ゾーニング」です。
アメリカで適用されているゾーニングとは、新しい建物を建てるために許可を必要とする厳しい法律のことで、住宅の改築の許可にも数年を要したり、許可が取れなかったりする程のものなのです。
これの狙いは、「不動産」における資産価値が下がらないようにすることです。このことにより、不動産の価値が毎年上がっていくというメリットを得られるため、国民が資産として不動産を持つことを促しているのです。
このことから、「新しい物件が高い、古い物件は安い」といった概念が生まれないのです。同じエリアで、同じ間取りであれば、新築も築古物件も物件価格や家賃の面で何ら変わりないのです。
「夢のマイホーム文化」が無い
上記に加えて、アメリカにはマイホームを持つ憧れというものが比較的ありません。アメリカでは平均して7年に1度の頻度で引っ越しをすると言われています。
つまり、77歳まで生きた場合、およそ10回は人生で引っ越しを経験することになるのです。
これに対して、日本にはマイホームを持つことに夢を抱く人が多い傾向にあります。よって、住宅用の不動産の流動性はかなり低いとされています。
アメリカでは、結婚、出産、子供の巣立ち...といった人生における家族構成の変容と共に、引っ越しをしていきます。とうぜん、これ程までに引っ越しをするとなるとマイホームを買っている余裕はないため、中古の家を転々とするようになります。
これらのことから、アメリカの不動産は今後も十分に価値が見込めるものであることが分かります。
政府の節税を阻止する方針について
アメリカは人口増加や文化の面において不動産投資に最適であることに加え、この後にも紹介するように節税対策にもなる優れものなのです。
一方、残念なことに令和2年の税制改正により、個人で海外での不動産投資をしている人が日本国内で節税ができないような仕組みにされてしまいました。
アメリカへの不動産投資も例外ではなく、個人投資家の損益通算が困難になってしまいました。
しかし、個人での投資とは異なり、法人での投資であれば節税対策としてアメリカ不動産に手を付けられるのです。
そこで、ここからは法人でのアメリカ不動産投資という視点で話を進めていきます。
アメリカ不動産投資のメリット
アメリカへの不動産投資の具体的メリットや特徴は大きく分けて2つあります。
減価償却費
アメリカの不動産投資のメリットについて見ていくうえで、まずは減価償却とは何なのか見ていきましょう。
一般的な給与や家賃と異なり、建物や機械などの固定資産は、購入後から長期にわたる使用が想定されます。そこで、購入時に一挙に費用を計上するのではなく、耐用年数に応じて数年間に分けて費用を分配することが必要とされます。
このような、一定期間にわたって取得価格を費用化するシステムのことを減価償却といいます。
この時、土地は減価償却できませんが、建物は減価償却の対象となることを覚えておきましょう。
減価償却費割合が高い
減価償却費は税務上の経費として計算されるので、その分利益を減らし、税額を抑えることに繋がります。
そこで、アメリカの不動産の評価割合を見てみましょう。なんと、アメリカ不動産の評価割合は、建物が8割、土地が2割なのです。日本の評価割合である、土地が8割、建物が2割と比べて、アメリカの不動産における建物の価値がかなり高いことが分かります。
例えば、同じ1億円の不動産を購入したとしても、日本では約2割分の2000万円しか減価償却できないのに対して、アメリカでは8000万円もの額を節税対策として活用できます。
土地は減価償却ができないが建物ならできるということを念頭に入れておけば、アメリカの不動産のメリットは明確なのです。
加速度償却が利用できる
アメリカの不動産投資における2つ目のメリットは、加速度償却を使用できるということです。
先ほどもお伝えした通り、アメリカでは不動産の価格に古さや新しさはさほど影響しません。
そのような環境の違いもあり、日本とアメリカの不動産では耐用年数が異なります。以下の図をご覧ください。
日本では税制の決まりによって、経過年数が法定耐用年数をオーバーした物件を新たに購入した時の償却期間は「法定耐用年数×0.2」年と定まっています。
築25年の木造物件(法定耐用年数22年を経過)を購入したとすると、償却期間は「22×0.2=4 (小数点切り下げ)」年と、法定耐用年数よりも断然短い期間で償却できるのです。これを「加速度償却」と言います。
このことにより、上の場合においては償却資産をわずか4年間で償却できるため、短期間で大きな節税効果を生めるのです。
法人名義でのアメリカ不動産投資
先ほども述べた通り、個人名義でのアメリカ不動産投資による節税効果は、税制改正によって見込めなくなりましたが、法人での投資であれば問題ありません。
実は、これまでもアメリカの不動産投資は法人名義でされることが意外に多くありました。そこで、ここからはアメリカの不動産投資を法人名義でする際のメリットをご紹介いたします。
訴訟時のリスクを軽減できる
アメリカといえば、訴訟大国で有名ですが、不動産経営においてもテナントとの小さな揉め事から裁判に発展してしまい、挙句の果てには大金を請求されてしまうことは少なくありません。
個人名義で不動産を省有している場合、裁判で敗訴してしまうと賠償額が保有している物件の価格を越えてしまうことがあります。その場合、個人の財産も含めた賠償責任を負う必要が出てくるのです。
一方、法人名義での出資の場合、「有限責任」が認められているため、責任を負う範囲は出資した額の上限までとなっています。
自身の個人財産にまで責任の所在が及ぶ「無限責任」と異なり、法人での投資はアメリカにおいては大きなリスクヘッジとなります。
不動産収益に対する税率の低さ
アメリカでの所得税率は、所得水準に対して10%から37%の累進課税外適用されます。一方、法人には一律21%が適用されるため、アメリカへ不動産投資をするような交渉特水準の方にとっては、個人名義で投資する際に比べ、多くの場合税率をかなり低く抑えられると言えます。
アメリカ不動産投資についてまとめ
いかがでしたでしょうか。税制の改正によって、個人での投資は意味のないモノになってしまいましたが、法人での投資となるとまだまだアメリカ不動産投資はメリットが多く見受けられることが特徴的でしたね。
これからも、日本だけでなく様々な国の不動産にアンテナを張っていくよう心がけていきましょう。