オークションが活況!値上がりが期待できる絵画とは
- 2018/7/17
- 資産運用・節税

オークションで、絵画が数百億を超える金額で取引されたことが、ニュースになるたびに、絵画を投資的、もしくは投機的な意味合いで価値があるのか。将来、値上がりが期待できる作品はあるのか気になりますね。
存命な方でも数百億という値段が付きますし、そこまで高額にならなくても、数億という価格で落札される場合もあります。作品が多くの方から評価され、金に糸目を付けずに購入する超富裕層コレクターがオークションに参入すると、結果的に億を超える絵画が誕生するのです。
しかし、それらの作品は、最初からそこまで高かったわけではありません。
完成した当初は、10万円~30万円という金額で取引されていた可能性もあり、もしそれが真実だとしたら、他のどのような投資と比べても、リターンが尋常じゃなく高いです。
すべての絵画が、値上がりを期待できるわけではありません。
本記事では、どういった要素が値上がりを期待できるのか、考察していきます。
Contents
絵画は資産?!歴史的評価がフィックスした作家のみ
有名・無名問わず様々な画家が存在するため、すべての絵画が資産になるわけではないのは理解できます。しかし、名のしれた画家の作品であっても、歴史的評価が下されない限りは、絵画が資産としてみなされないこともあります。
資産を持つということは、税制上の処理も重要になるため、税理士がどのように判断するかも合わせて考えていく必要があります。
法律では、100万円未満の美術品は経費や減価償却資産として処理できます。
もちろん、事業用として購入する必要があるため、オフィスやマンションなどに飾り、人目にさらされるため、経年劣化していきます。つまり、購入時から年月が経てば、価値は下がっていくと、思われていることの裏返しです。
購入時より、価格が上昇する絵画は、中古であったとしても、欲しい人が複数存在します。人気のある作家の絵画は、値上がりしていきます。
絵画を用いた投資を行う場合は、このことを指標に検討してみてはいかがでしょうか。
死後30年後が目安?!美術史も把握しておくと有利
存命している方でも、驚くような高額で取引される絵画を生み出す画家も存在しますが、歴史的評価が定まっていないため、将来どのように変動するかはわかりません。
目安として、死後30年が経過したのちに、絵画の価値が下がっていなければ、歴史に名を残せる作家になったと言えるかもしれません。資産価値が維持されていたとしても、将来新しい発見から、価値が上昇することも考えられます。
没後30年というと、マルク・シャガール(1985年死去)、ジャン=ミシェル・バスキア(1988年死去)、サルバドール・ダリ(1989年死去)など、他にも多くの画家がいます。
さらには、死後30年経過していなくても評価が定まってきている画家も存在します。フランシス・ベーコン(1992年死去)、東山魁夷(1999年死去)などもそうでしょう。
数百年も前の絵画の方が、価値あると思いがちですが、約半世紀前に精力的に活動していた画家であっても、十分評価されているということも留意しておくと良いです。
存命の作家は?!死後暴落することも
「ジャスパー・ジョーンズ」「村上隆」や「奈良美智」など、存命の画家の作品も高く取引されています。現在、オークションなどで高く取引されていても、死後、その価格が維持されるかはわかりません。
というのも、存命している画家の場合、画商が売り込み、より多くの利益を確保するため、価格を釣り上げている可能性もあります。
どの作家にも無名の時代はあり、価値がつく前の作品は安いはずです。しかし、将来、価格が高騰することを見越して購入するのはほぼ不可能です。それができるとしたら、影響力のある画商です。
価格が跳ね上がるということは、投機的に絵画を買う方法もあるわけですが、基本的にはおすすめしません。
将来、画家が死去したあと、生前のことを評価していきます。それにはある程度の年月が必要で、評価されなければ価値は下がってしまいます。
もし青田買いをするなら?!歴史的評価された画家の法則性は?
数十万程度で取引された絵画が、将来的に数千万円~億を超える値がついたというのは事実です。それを狙って、若手の将来有望な画家の作品を青田買いしたいと考える人もいるはずです。
価格が高騰した画家の共通点はあるのでしょうか。
特に、死後評価される画家は
- その時代の主流でない新しい世界を切り開いた。
- 戦争真っ只中で、食うに困った状況にもかかわらず、作品制作に没頭した。
- 常人では考えられないようなことを行っていた。
- 不幸であればあるほど、評価される。
といったこともあるみたいです。
技術や表現力だけでなく、画家の思想(人生観、死生観、宗教観)、今後の制作本数、経歴、性格など、様々なものが合わさって将来性が評価されます。その人だからこそ、作品が生み出せたということに繋がるのです。
それだけでなく、その作家が好きだから、気に入ったからなど所有したい理由を明確に持っておくこともおすすめです。
絵画を投資として考えた場合の注意点
数十億、数百億で取引される歴史的巨匠と呼ばれる方の作品を投資するにしても、そこまではいかなくとも数千万円単位で取引される画家の作品だったとしても、未来に評価される可能性ある若手作家の作品であろうと、どの絵画においても考えておいた方が良い注意点があります。
それは、利益が確定するまでの期間があまりに長いことです。
存命の画家であれば、評価されるまで待つ必要がありますし、歴史的価値が定まっている画家でも10年以上の単位で考えるべきでしょう。
絵画を短期的に所有し、競売にかけるというのはナンセンスです。なぜ、所有者が手放すのかが理解できない場合、変に勘ぐる人も出てくる可能性も否めません。
つまり値上がりが期待できる絵画であっても、かなりの年月を経て、リターンが来ると思っておいた方が良いかもしれません。
それも踏まえて、絵画への投資を考えてみてはいかがでしょうか。
また、落札する作品によっては、メディアが取り上げてくれるため、付随したリターンが得られるということも理解しておきましょう。
例えば、バスギアの『無題』をオークションで落札した前澤氏は、ZOZOTOWNを運営する株式会社スタートトゥデイの社長です。落札額は1億1050万ドルとのことですが、多くのメディアがこのことを取り上げました。ZOZOのブランド価値を高める戦略とも考えられます。
絵画を持つということは、富裕層コレクターから認知されることと同じです。絵画の価値を感じて投資するのではなく、ベネフィットも感じながら検討するのがリターンを得る近道です。
まとめ
オークションで、絵画の価値が高騰し、落札されるごとに、絵画の投資意義を考えさせられます。100万円未満の絵画なら、経費や減価償却資産として計上できるため、節税に繋がります。
しかし大きな魅力は、自分が所有している絵画の価格が年々上昇し、オークションに出品したらありえない金額で評価されたということです。
歴史的評価が下された画家であれば、価格が下がることも少なく、所有したい人が増え続ければ、ほぼ確実に上がっていくと思えるでしょう。
手堅く投資をする場合は、歴史的価値が確定した方の作品を購入すると良いです。
投機的に絵画を買う場合は、技術や表現力だけでなく、その人の思想や人生観、環境、性格、経歴など、様々な要素を見ていく必要があります。他の画家と同じことをしているのではなく、新しい世界を切り開いているかなども、重要なポイントです。
死去した画家の人生から、将来価値がつきそうなポイントを抽出することは可能です。しかし、その視点で買うというより、自分自身が気に入った絵画や画家をみて買うという、コレクション要素で投資するのもおすすめです。
将来、驚くような金額でオークションにかかる可能性のある絵画への投資を検討してみませんか。