AmazonやUberも目を付けた!?いまさら聞けないドローンビジネスの基本
- 2020/4/21
- 経済・ビジネス

2019年6月にAmazonが宅配ドローンの開発を発表しました。加えて、Uberはドローンを使った飲食の配達業務に関わるメンバーとして、FAA(米国連邦航空局)ライセンスを持っているパイロットを募集しています。
このようなことから、ドローンが飛び回り、私たちの生活に役立つ未来はもうそこまで来ていることは容易に想像ができます。
つまり、ドローンの市場の変化は大きなビジネスチャンスを秘めていると言って間違いないのです。
そこで今回は、いまさら聞けないビジネス・パーソンとして知っておくべきドローンビジネスの基本について見ていきましょう。
Contents
―ドローン運用のメリット
そもそも、ドローンを運用することにはどのようなメリットが存在するのでしょうか。まずは、その利点から見ていきましょう。
市場規模
ドローンの市場規模は年々増加傾向にあります。2018年度における日本でのドローンビジネス市場の規模は931億円だったのが、2019年度には1,450億円で前年度比約1.5倍増まで膨れ上がりました。
2017年度に501億円、2016年度に353億円だったことを考慮すれば、ドローン市場がいかに成長している分野であるかが分かります。
今後もこのまま伸び続けると予測されており、2024年度には市場規模が5000億円を超えるまで言われています。
今後の伸びしろを踏まえれば、ドローンビジネスへの参入が頭になかった企業ですら参入を検討する価値があることは一目瞭然です。
ドローンビジネスの市場は、機体、サービス、周辺サービスの3つを中心に構成されています。機体は販売した数、サービスはドローンを運用した業務の売上、周辺サービスには消費者によるドローンの整備や保険など、インフラ整備に必要な費用が含まれています。3つの中では、サービスの分野の成長が最も著しいのが現状です。
機体市場は、機能向上や小型化などのが行われることで、より売上を伸ばし、市場を拡大させていくでしょう。周辺サービスでも、ドローン活用が多様化することで、さまざまな保険サービスなどが出てくるとも予測されています。
効率化
ドローンのメリットにおいて顕著なメリットが「効率化」です。
例えば、人が行っていたために準備を含め時間がかかっていた作業でも、ドローンであればその時間を大幅に短縮できます。
加えて、作業をより少ない人員で行えるので、人件費を削減することもできます。そして、余った時間や人材はこれまで作業に要していた時間や人員を、別の作業に移せるため、業務を効率化して進めることにもつながります。
人間の限界を超える
ドローンは我々人間の可能性を越えた作業をも可能にする力も持っています。
ドローンは遠隔操作ができるため、人が同伴する必要がありません。そのため、人が立ち入ることのできない危険な場所へ向かえるのです。
加えて、飛行能力のあるドローンは、空中での作業が可能なため、人間がこれまで飛行機やヘリコプターなどを用いてでなければできなかったことも可能にします。
更に、ドローンにカメラやAIを搭載することで、人の力をはるかに越えた精密な情報のインプットも可能となります。
―ドローン運用のポイント
ドローンのメリットを知ったところで、次にドローンの活用におけるポイントを見ていきましょう。
知る
当たり前ですが、ドローンを用いるにはドローンを知る必要があります。ドローンを知るとは、ドローンの操縦、ドローン関連の法律・規制への理解、ドローンの仕組みへの理解ができていることを指します。
例えば、インターネットで事業を起こしたいという方がいて、その方がPC操作やインターネットに関する法律に知識が全くなければ、何も始められないですよね。ドローンも一緒です。
用途を決める
これも当たり前なのですが、とりあえずドローンを使ったビジネスを起こしたいという思いだけでは、正直どうにもなりません。1つのドローンが全ての分野に対応できるわけではなく、分野それぞれの機能や規制が別に存在します。
つまり、用途を決めることなしには、ドローンを選ぶことすらできないという訳なのです。
分析と情報収集
全くの新しい事業を立ち上げる際は別として、たいていの場合は既存のビジネスがあります。自身の用途を参考に、そのビジネスをしている会社をリサーチし、時には海外の情報をも手に入れることにより、流行や課題が見えてきます。そうすることである程度の計画を練られるのです。
―ドローンビジネスのジャンル
では、ここからは実際にドローンがどのよううな分野で使われているのか、特に有名な分野3つを見ていきましょう。
販売・レンタル
ドローンの需要が増えていくのと同時に、ドローンの売り買いにおける市場も順調に拡大しています。
ドローンには、「メーカー公式店舗」「メーカー代理販売店舗(正規代理店・家電量販店など)」の2パターンの購入経路があります。
これまで、業者を除いた一般的な消費者がドローンを実店舗で購入する場合には「家電量販店」が多かったのですが、近年では「ドローン販売専門店」が増加していることが特徴といえます。
販売だけでなくレンタル市場も今後拡大していくでしょう。ドローンには安価なモデルだけではなく、価格が数十万円オーバーになるような高画質カメラ付きの高性能な本格タイプも存在します。このことから、一度しか使わないの人が「レンタルで十分」と思う傾向が根強くあります。
自家用車のレンタルやシェアと同じように、必要な時にレンタルなどで済ませようとする消費者は今後ますます増えていきます。よって、レンタルドローンにも大きなビジネスチャンスがあると言えるのです。
撮影
ドローンを使った空からの撮影は、テレビやCMなど様々な場所で目にするようになりました。またYouTubeでは、素人からから専門家にいたるまで、観光名所や自然をドローンで撮影した映像を公開して、人気を集めています。
綺麗な景色を撮影するような場だけではなく、スポーツにおいても更なるビジネスのチャンスが期待されています。
サッカー、アメフト、ラグビー、スキーなどの競技では、すでにドローンを使った撮影が行われています。
迫力があり臨場感に満ちた競技の映像は、ファンにとっても非常に魅力があるため、テレビ局や映像制作会社は撮影機材としてドローンを頻繁に用いるようになりました。
加えて、スポーツ分析において、ドローンの活用が期待されています。スポーツの指導者にとっては、練習の様子を上空からドローンで確認することによって、選手の立ち位置などについて詳細に確認、分析、そして指導できるというメリットがあります。
ドローンは細いにアングルの調整が可能なので、様々な角度から選手をチェックできます。上に挙げたスポーツ以外にも、テニス選手の姿勢の確認などにも使われています。
農業
大きな農地では、農薬散布のために産業用無人ヘリコプターを使うのが主流でしたが、ヘリは1台数千万円以上することもあるため、経済基盤の乏しい農家では所有できないということは少なくありませんでした。
しかし、ドローンは機体が小さく、機動性に優れ、しかも価格がヘリコプターに比べてとても低いので、空中農薬散布はドローンへを用いたものに確実に移行するものと予測されています。
産業用無人ヘリコプターの登録機体数は2818台から2775台と減っているのに対し、農業用ドローンは2018年末には1000台を軽く突破。これは2017年の3月に比べて販売ペースが6倍以上ということなのです。
最近では農薬散布だけではなく、水田の地質解析や農作物の生育管理など、ドローンによる労力削減、収穫量増加への実用化がさらに浸透しています。
人手不足が課題となっている農業分野で、時間と労力がかかる作業に取り組んだりや、ハイパースペクトルカメラを搭載したドローンを使ったり、作物の育成状況や必要な肥料量の算定などの一括管理をしたりすることで、生産性の向上が期待されています。
さらに、野生動物を監視して追い払うためシステムを導入することも、将来的には実現可能だと考えられています。
農業のドローン利用は民間でだけではなく、政府も取り組んでいることから、税制や補助金といった優遇措置が受けられることが期待でき、ビジネスとしても取り組みやすい分野であると言えます。
他にも、監視、建設、物流、点検、災害時の調査、レース、さらにはドローン操作のスクール市場の発展も予測されています。
―課題やデメリット
このように、期待が益々されているドローンですが、残念ながらデメリットや課題も存在します。
デメリット
まず、大きなデメリットの一つとして「安全対策」が挙げられるでしょう。もし、落下・接触による事故や、器物破損などの問題が起きた場合、企業としての対処が必要になるため、個人が趣味でドローンを飛ばす時とは違い、慎重な姿勢を取らなければいけないでしょう。
また、「法整備」も課題です。現在、ドローンには様々な規制があり、代表的なものでは改正航空法が存在します。改正航空法は、特定の空域や飛行方法をするために、事前の許可申請を求めるのです。
このことにより、ビジネス活用できる場であったとしても、制限をかけられてしまうのです。
当然法規制は安全のためにあるので、不用意に変更を加えるべきではありませんが、ドローンのビジネス活用を念頭に置いた法整備が行われることで、ドローン活用の世界はより広がっていくことは間違いありません。
更に、現在のドローン市場の多くは軍事用のドローンが占めていることから、ビジネスそのものに大きな壁があるのではないかとする意見もあります。2020年におけるドローン市場の予想では、民間用ドローンは軍事用に対して全体の半分にも満たないとする調査もあります。
他にも、操縦士など新たにコストを要するものを含んでいるという面もあることから、ドローンを用いたビジネスはある程度のデメリットや課題を抱えているのは間違いありません。
―ドローンビジネスの基本まとめ
ドローンを用いたビジネスの全体像を見てきましたが、いかがだったでしょうか?ドローンには大きな可能性がありつつも、そこには越えなければいけない壁が存在していることが分かりましたね。
しかし、AIや5Gの開発と力を合わせることで、更なる発展がみられることは言うまでもないでしょう。
これからも、ドローン分野の進展からは目が離せませんね!